シェアハウス専門ポータルサイトのスタッフによる、シェア生活を楽しむための探検レポートブログ。東京、神奈川、千葉、埼玉、 そして全国各地のシェア賃貸住居をひたすら探検する専門ポータルサイトの隊員達。明日はあなたの物件へ・・・!?
紡ぐ歴史と、受け継ぐ歴史。
家に求めるものは、人によってさまざま。
プライベートの空間の広さが欲しい人がいれば、部屋は寝るだけと口にする人もいます。暮らしの快適さは日当りで決まると考え方もあれば、収納スペースが家選びの判断基準だ、なんて声も。もちろん、近隣の生活環境もとっても大切です。
そんななか、家選びのひとつの判断軸として築年数は浅いほうが良いという傾向があります。経験と技術が集約された新築の家には、新しいライフスタイルのヒントがあることも多く、たしかに魅力的です。
ただ、京都の「ことりアパートメント」を訪れると、築年数が浅いイコール賢い選択とは、一概に言えなくなると思うのです。
ことりアパートメントの第一印象は、とても不思議なものでした。
“ひと目惚れ”とは少し違うけれど、とても印象深い佇まい。“味わい”より“深み”という言葉が似合います。
土間の雰囲気、階段の感触、建具の質感。部屋が3室とリビングが1室の小さなシェアハウスの中には、家好きであれば心いっぱいになるほどの情報が詰まっています。
また、誕生を控えた2013年の暮れのこと。惜しくも解体となった神戸塩屋の洋館「旧ジョネス邸」より大きな窓枠やドア、部屋番号の立て札がやってきたのだそうです。
偶然の出来事から受け継いだ名館の建具が、違和感なくピタリと空間に溶け込んだ風景を見ていると、なんだか運命を感じてしまいます。
歴史を受け継ぎ、これからも愛されるであろう、ちいさな棲家。
ことりアパートメントの物語はまだはじまったばかりです。
最寄りの駅から徒歩12分ほど、バス停からは6分ほどです。
町家の並ぶこぢんまりと細道に、ひょこんと建つ一軒家のような建物が「ことりアパートメント」。
一見、普通の住宅に見えますが、歴とした共同住宅です。
建物の玄関は、すりガラスの欄間窓に飴色のドアの組み合わせ。
日が落ちて辺りが暗くなる頃になれば、玄関先に立つとマリンランプのような玄関灯が自動で点灯します。
ドアをあけると、こんな感じ。小さな土間が広がっています。
階段が土間に面して設けられ、階段を上がるときは靴を脱ぐ仕様。今ではあまり見かけない珍しい間取りです。
共用のリビングは玄関を入ってすぐ隣のスペース。あえて入口のドアは設けていないそうです。
そして、じつはこの時点で「旧ジョネス邸」から受け継いだモノに触れています。さて、どこでしょう。
正解は玄関のドア。もともとは旧ジョネス邸のお手洗いのドアだったとのこと。ちょっと、驚きです。
その風格ある佇まいを考えると、ドアも玄関に設置されて居心地が良さそうです。
リビングスペースの入口には、段差が設けられています。
靴を履く時には腰を下ろせる良い高さ。とくにブーツの脱ぎ履きには使いやすいと思います。
洗濯機が入口の土間に置かれている風景も、どことなくノスタルジックですね。
リビングは無垢のフローリングが心地よい、モダンな仕上がりです。
ソファ、テーブルなど、スタイリッシュなデザインが並びますが、どこか和の雰囲気を感じます。
おそらく、引き戸のデザインやソファの直線的なラインに、和テイストが潜んでいるのではと予想。
DIY家具がちらほら見えるのも、ほっこりポイント。
あまり多用しすぎるとスタイリッシュさを欠いてしまうDIY家具ですが、この位の塩梅であれば、既製品の尖ったデザインを丸くして心地よいムードに仕上げてくれる気がします。
ソファスペースの対面には、シンプルなキッチンが設置されています。
リビングとしてはコンパクトな作り。これも住人3人の棲家と考えれば、隅々まで手が届く暮らしやすい大きさかも。
そして、部屋の真ん中にはズンと存在感のある大きな窓。
そう。この窓も「旧ジョネス邸」からやってきました。
金具やガラスまで、当時のモノを使っているそう。移設の際に、窓枠からガラスまで丹念に拭き上げたそうですが、ガラスにはちょっと曇りがとれない部分もあったとか。
これも100年近く雨風にさらされてきた証と考えると、愛おしく感じます。
リビング脇のキッチンを少し細かく見ていきます。
キッチンには陶製のシンクとIHヒーターが1台ずつ。ステイン塗装された質感の良い棚板に設置されています。
IHヒーターは1口のみ。各部屋にガスコンロ台があります。
料理は基本自室で、とのことですが、作りすぎてしまったおかずをタッパーに入れて「食べてね」とメッセージしておく程度は大丈夫ではと思います。
よく見ると、タイル壁の境目には小さな棚板が。
設計者さんの言葉を借りると、「花を一輪飾るのに、ちょうどいいスペース」。
個人的にお気に入りは、この壁付けライト。
ライトのフォルムももちろんのこと、ライトから申し訳程度に伸びたスイッチの取り付け位置がキュートです。
キッチンの脇にはコンパクトですが収納棚が設けられています。
キッチンペーパーやラップなど、とっさに必要となるモノを藤のカゴに入れてストックしておくと便利かも。
ことりアパートメントは、もともと風呂なし1DKアパートでした。
その名残もあって、ことりアパートメントの各部屋にはキッチンとトイレはありますがバスルームはありません。
その代わり、リビング脇に1室バスルームが設けられています。
バスルームは広いとは言えませんが、バスタブにお湯を張ってゆったり浸かれるスペースはあります。
3名で使うことを考えると、時間もあまり気にせずゆっくりできそうです。
バスルームの隣にはトイレが設置されています。
個室内に設置された棚の質感も、トイレットペーパーホルダーも、ちょっと素敵です。
それでは、土間仕様の廊下を渡って、奥の101号室へ。
部屋の入口には「第一別室」のプレートが掛けられています。
おなじく、2Fの202号室には「第ニ別室」、203号室には「第三號(ごう)室」のプレート。察しのとおり、こちらも旧ジョネス邸から受け継いだ物のひとつです。
旧ジョネス邸の間取りや室内の装飾、部屋がどのように使われていたのかなど、想像しながらインテリアを興じるのも乙な楽しみ方かと。
部屋の入口はリビングと同じく段差が設けられています。
ちゃんと玄関があるこの感じ。なんだか、ほっと落ち着きます。
101号室は、奥に和室を控えた1DKの間取りです。
室内は、フローリングの張り替えとクリーニングこそしたものの他の設備は基本的に以前のまま、とのこと。
とはいうものの、柱やキッチンに大きなキズもなく、まだまだ現役の雰囲気を纏っています。
キッチンには2口のガスコンロ付き。リビングのキッチンに比べ作業スペースも広めです。
となりの和室は6畳の広さ。2間分の押し入れ収納が設けられています。
2面に渡る大きな窓には障子が設置されていて、外の明かりを柔らかく取り込んでくれます。
外からの視線も防いでくれるため、カーテン要らずかも。
朝はカーテンを開けるまで暗いほうが良い方は、遮光カーテンを設置したほうが良いかもしれません。
その際は、まずカーテンレールを取り付ける必要がありますので、あしからず。
入口の脇にはトイレが設けられています。
洗い出しの床と三角タンクのトイレ。
洋式ですが、日本人なら「そうそう、これこれ」と思わんばかりの仕上がりです。
それでは、階段を上がって2Fへ。
ちなみに、階段の手前で内履きに履き替えます。
外履きは手にもって、部屋まで持ってあがります。
階段を上りきると、左右に部屋のドア。
北向きの部屋が202号室、南向きの部屋が203号室です。
こちらは202号室。
101号室と同じく1DKですが、キッチンまわりの間取りが面白い形をしています。
他の部屋に比べて、キッチンが広め。それに伴い奥に広がるような間取りです。
冷蔵庫の置き場所次第では、キッチンが主役の部屋にも仕上げられそう。
奥の和室はこんな感じ。
チェックポイントは、収納スペースの広さ。101号室と比べるとタイトな作りです。
部屋がふた間あって専有部の広さも申し分ないので物の置き場に困ることはないかと思います。
ですが、なるべく物は収納スペースに片付けたい方は、収納量をあらかじめチェックしておいた方が良いかも。
玄関脇のトイレは101号室と同じ仕様です。
最後に、こちらは203号室。
101号室を反転させたような間取りです。
和室はこんな感じ。押し入れ収納もしっかり設けられています。
玄関脇のトイレに、ちょっと変わった仕掛けが施されています。
玄関とトイレとの壁のランプが、トイレの照明に切り替えに応じて点いたり消えたりします。
ひとり暮らしが基本なので誰にお知らせする訳でもないのですが、行灯のようなフォルムと仕掛け具合が心をくすぐります。
1Fの廊下の突き当たりには裏庭スペースがあります。
ゴミや季節物の共用備品の置き場として活用されるとのこと。
自転車やバイクは家の前のスペースに駐輪します。
1人2台まで大丈夫とのこと。
原付と自転車の二刀流でも問題ありません。
最寄り駅は北野線・北野白梅町駅です。
駅までは徒歩で12分ほど。嵐山方面へ通勤する方、または通勤で阪急線を利用する方は、北野線・四条大宮駅から直通電車が出ているので便利に使えるかと思います。
また、徒歩10分圏内にいくつかの市営バスのバス停もあるので、行き先と利用時間に応じて使い分けられそう。
ちなみに朝の通勤時間、最寄りのバス停から京都駅までの移動時間は30分ほどです。ご参考まで。
周辺は町家の並んだほっとする雰囲気。高い建物もなく、のんびりとした風景が続きます。
また、2分ほど歩けば北野天満宮があります。境内の風景から京都の四季をめいっぱい感じられるかと思います。
運営・管理は「202カンパニー株式会社」さんです。
ことりアパートメントが202カンパニーさんの管理物件ではじめて登録となりました。現在では、あわせて2件のシェアハウスの管理をされています。
じつは、関東と関西、それぞれの地でシェアハウス管理に携わってきた経験のあるお二人です。実際にシェアハウスに住んでいた経験もあるそう。設計などのハード面はもちろん、コミュニティや運営体勢といったソフト面の設計経験を豊富に持ち合わせています。
人の住まいや暮らしのことですから、予想できない事が起こることもあります。そんなとき、焦らずポイントを押さえて適切に対処してくれる管理者さんがいると、本当に心強いもの。加えて、イマの感覚を理解してくれる柔らかなブレーンを持っているので、さまざまな事に柔軟に対応してくれると思います。
なにより、家好きなお二人。インテリアに限らず、建築、コミュニティに興味のある方は楽しく付き合って行けるかと。
さまざまな想いを、たくさん詰め込んだ小さなアパートは現在は満室(2014.8)。興味のある方は、空室情報を念入りにチェックしていると、いつか運命のタイミングに遭遇できるはず。お問合せはコチラからどうぞ。
窓越しの景色は、ぼんやりと白く、明るく映ります。
うとうと昼寝をしてしまったとき。寝惚け眼で眺めた、白昼夢のような景色です。
(イシクラ)
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